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減価償却のやり方は?個人事業主のパソコン購入費を経費にする方法

パソコンを買ったのに、購入費を一度に経費にできず戸惑う個人事業主は少なくありません。

減価償却のやり方は、パソコンの取得価額によって変わります。まず全体像を押さえましょう。

国税庁のタックスアンサーNo.2100は、令和8年4月1日現在の法令等で次のように整理しています。

  • 取得価額10万円未満:全額を業務に使い始めた年の必要経費にする
  • 10万円以上20万円未満:一括償却資産として3年で均等に経費にできる
  • 10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までの取得は30万円未満):一定の要件を満たす青色申告者は、特例で全額を経費にできる
  • それ以外:法定耐用年数に分けて少しずつ経費にする

この記事では、個人事業主・フリーランスがパソコンを買ったときの処理を、順に整理します。

主な制度の数値は国税庁や中小企業庁の資料で確認し、計算例は実際に計算して確かめています。

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  1. 減価償却とは?パソコン購入費が一度に経費にならない理由
    1. 減価償却の基本的な仕組み
    2. 減価償却の対象になるパソコンの条件
    3. 取得価額に含める費用の範囲
  2. パソコンの取得価額別に見る経費計上のルール
    1. 10万円未満のパソコンは全額をその年の必要経費にできる
    2. 10万円以上20万円未満のパソコンは一括償却資産を選べる
    3. 取得価額の判定は消費税の経理方式で変わる
    4. 複数台をまとめて購入したときの判定単位
    5. パソコン購入前に比較したい経費計上方法の違い
  3. 40万円未満のパソコンは少額減価償却資産の特例で全額を経費にできる
    1. 令和8年度改正で上限が40万円未満に引き上げられた
    2. 特例を使える個人事業主の条件
    3. 年間の取得価額の合計は300万円まで
    4. 特例の適用期限は令和11年3月31日まで
    5. 特例を使うための申告上の手続き
  4. パソコンの減価償却に使う耐用年数
    1. 新品のパソコンの法定耐用年数は4年
    2. 耐用年数から償却率を調べる方法
    3. 中古パソコンの耐用年数は簡便法で求める
  5. パソコンの減価償却費の計算方法
    1. 個人事業主の法定償却方法は定額法
    2. 定額法で計算する具体例
    3. 定率法で計算する具体例
    4. 定額法と定率法はどちらを選ぶべきか
    5. 年の途中で使い始めたときの月割計算
  6. 個人事業主のパソコンの減価償却を仕訳する方法
    1. 直接法で減価償却費を仕訳する方法
    2. 間接法で仕訳する方法
    3. 一括償却資産の仕訳例
    4. 少額減価償却資産の特例を使った場合の仕訳例
  7. パソコンの減価償却で間違えやすいケース
    1. 開業前に買ったパソコンを事業で使い始めた場合
    2. 買い替えで古いパソコンを処分した場合
    3. 償却資産税の申告が必要になるパソコンの条件
  8. パソコンの減価償却に関するよくある質問
    1. 10万円未満のパソコンも減価償却は必要ですか?
    2. 白色申告でも少額減価償却資産の特例は使えますか?
    3. 事業とプライベートで兼用するパソコンも全額を償却できますか?
    4. 耐用年数が過ぎても使い続けているパソコンの減価償却はどうなりますか?
    5. 購入したものの使い始めていないパソコンは経費にできますか?
  9. パソコンの減価償却で押さえておきたいポイント
    1. 購入から確定申告までに確認したい手順

減価償却とは?パソコン購入費が一度に経費にならない理由

減価償却とは、長く使う資産の購入費を、使える期間にわたって少しずつ経費にする手続きです。パソコンも、一定の金額以上なら対象になります。

減価償却の基本的な仕組み

国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、事業で使う資産の価値は、時の経過などで減っていきます。

そのため購入時に全額を経費にせず、使える期間の全体で分割して必要経費にします。この使える期間にあたるのが法定耐用年数です。

法定耐用年数は財務省令の別表で資産ごとに定められています。この分割の仕組みは、取得費を各年分の必要経費へ配分する手続きといえます。

たとえば48万円のパソコンを耐用年数4年で分けるなら、1年あたりの目安は12万円です。

反対に、土地や骨とう品のように、時間が経っても価値が減らない資産は、償却の対象外です。

減価償却の対象になるパソコンの条件

弥生の解説によると、償却が必要なのは、耐用年数が1年以上で取得価額が10万円以上の固定資産です。

事業で長く使うパソコンは、この条件に当てはまりやすい資産です。個人事業主は、原則として償却が義務付けられています。

償却が必要なのは、収益と必要経費を対応させ、決算書に経営状況を適切に反映するためです。10万円未満の扱いは次の章で説明します。

取得価額に含める費用の範囲

取得価額とは、資産を手に入れて使える状態にするまでにかかった金額で、減価償却の計算のもとになります。

国税庁のタックスアンサーNo.2106によると、購入した資産の取得価額は、購入代金と業務に使うための費用の合計です。

購入代金には、引取運賃や運送保険料、購入手数料なども含まれます。パソコンなら送料も含まれると考えられます。

使い始めるための設定費用は、業務に使うための費用に当たると考えられます。付属品の扱いは、後の章の判定単位が手がかりです。

パソコンの取得価額別に見る経費計上のルール

個人事業主のパソコンは、取得価額によって経費にする方法が変わります。この章では、価格帯ごとのルールと判定方法、購入前の比較ポイントを整理します。

10万円未満のパソコンは全額をその年の必要経費にできる

国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、取得価額が10万円未満なら、全額を業務に使い始めた年分の必要経費にします。

使用可能期間が1年未満のものも同じ扱いで、耐用年数に分ける必要も、償却費の計算も不要です。

たとえば取得価額9万円のパソコンなら、その年に9万円をまとめて必要経費にできます。

ただし、令和4年4月1日以降に取得した資産を貸付けに使う場合は、主要な業務として行う貸付けを除き、この扱いが適用されません。

10万円以上20万円未満のパソコンは一括償却資産を選べる

国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、10万円以上20万円未満の資産は、一定の要件の下で一括して扱えます。

その合計額の3分の1を、使い始めた年以後の3年間、各年分の必要経費にします。たとえば15万円なら毎年5万円です。

弥生の解説によると、この方法は月割計算が不要で、10月に買っても初年度に3分の1を全額計上できます。

最終年に1円を残す必要もなく、青色申告でも白色申告でも使え、特別な届出は不要です。

この方法の利点は、法定耐用年数が長い資産でも、3年で費用にできる点です。パソコンの耐用年数4年より短く済みます。

ただし、3年の途中で処分しても、残りの年も3分の1ずつの計上を続ける点に注意しましょう。

取得価額の判定は消費税の経理方式で変わる

10万円や20万円といった基準を超えるかどうかは、消費税を含めるかどうかで結果が変わります。

国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、判定は納税者の経理方式によります。

税込経理なら消費税を含んだ金額、税抜経理なら含まない金額で判定します。免税事業者は税込経理になります。

弥生の解説によると、どちらの方式でも納税額は原則同じです。ただし、決めた方式は全取引で統一します。

たとえば税込10万5,000円なら、税抜経理では取得価額が約9万5,000円で、10万円未満として全額を必要経費にできる可能性があります。

複数台をまとめて購入したときの判定単位

所得税基本通達49-39は、10万円未満や20万円未満かどうかを、通常1単位として取引される単位ごとに判定すると定めています。

器具及び備品は、1個、1組または1そろいごとに判定します。パソコンは通常1台で取引されるため、原則として1台ごとの金額で判定すると考えられます。

本体とセットで取引される付属品は、1そろいとして扱う考え方もあります。判断に迷うときは、税理士や税務署に確認しましょう。

パソコン購入前に比較したい経費計上方法の違い

ここまでの内容を、国税庁のタックスアンサーNo.2100の区分に沿って、価格帯ごとの比較表にまとめます。

取得価額 経費にする方法 主な条件 向いている人
10万円未満 その年に全額を必要経費にする 業務に使い始めた年分に計上する 手間をかけずに処理したい人
10万円以上20万円未満 一括償却資産として3年で均等に経費にする 一定の要件がある。月割計算は不要 負担を3年に分けて平らにしたい人
10万円以上40万円未満(令和8年3月31日までの取得は30万円未満) 少額減価償却資産の特例で全額を経費にする 一定の要件を満たす青色申告者が対象で、年間の合計は300万円まで 青色申告で、使い始めた年に全額を経費にしたい人
40万円以上 耐用年数4年で通常の減価償却をする 個人事業主は定額法が原則。月割計算がある 毎年同じ額ずつ経費にしたい人

購入前に比較したいポイントは、次のとおりです。それぞれの条件は、次の章以降で順に説明します。

  • 青色申告をしているか。特例は青色申告者が対象です。
  • その年の利益の大きさ。全額を経費にすると、その年の所得は小さくなります。
  • 購入する時期。通常の減価償却は月割のため、年末に近いほど初年度の経費は小さくなります。
  • 償却資産税の申告の要否。少額特例を使った資産は、課税対象になることがあります。
  • 事業とプライベートで使う割合。按分が必要になる場合があります。

40万円未満のパソコンは少額減価償却資産の特例で全額を経費にできる

40万円未満のパソコンは、条件を満たせば使い始めた年に全額を必要経費にできます。この章では、上限、対象者、年間の枠、期限、手続きを順に確認します。

令和8年度改正で上限が40万円未満に引き上げられた

国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、令和8年4月1日以後に取得した資産は、取得価額が10万円以上40万円未満のものが対象です。

令和8年3月31日までに取得した場合は10万円以上30万円未満でした。上限が30万円から40万円へ引き上げられた形です。

たとえば35万円のパソコンも、令和8年4月1日以後の取得なら対象になりえます。なお、一括償却資産の適用を受けるものは対象から除かれます。

弥生の解説によると、特例を使えば減価償却をする必要がなくなり、月割計算も不要です。

古い記事には30万円未満と書かれていることがあります。取得日を基準に確認しましょう。

特例を使える個人事業主の条件

国税庁は、対象を一定の要件を満たす青色申告者としています。つまり、青色申告をしていない個人事業主は使えません。

同じ国税庁の案内では、令和4年4月1日以降に取得した資産を貸付けに使う場合、主要な業務として行う貸付けを除き、この特例は使えません。

中小企業庁の特例の案内によると、中小企業者は従業員が400名以下であることも必要です。

同じ中小企業庁の案内には、中小企業経営強化税制のE類型の適用を受ける場合、投資計画の期間中は本措置を使えないとの注記もあります。

白色申告の個人事業主は、特例ではなく、10万円以上20万円未満の一括償却資産を検討することになります。

年間の取得価額の合計は300万円まで

中小企業庁の特例の案内によると、特例で全額を経費にできる金額は、合計300万円までが限度です。

この枠は、パソコン以外の少額の資産も含めて合計で数えます。たとえば35万円のものを2台買ったなら、合計70万円を使う計算です。

300万円を超えた分は通常の減価償却で処理するのが基本です。枠の使いすぎには注意しましょう。

特例の適用期限は令和11年3月31日まで

国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、対象は令和11年3月31日までに取得した資産です。

取得日が期限内かどうかで判断するため、購入日に注意しましょう。期限が近づく時期は、延長や見直しの有無を国税庁で確認しておくと安心です。

特例を使うための申告上の手続き

中小企業庁の特例の案内によると、個人事業主は、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の「摘要」欄に記載します。

記載する文言は「措法 28 の2」です。記載漏れがないよう、申告の前に必ず確認しましょう。

少額特例で全額を経費にした資産は、のちに説明する償却資産税の申告対象になることがあります。

特例を使えるかどうかを知る第一歩として、まず自分が青色申告者かどうかを確認してみてください。

パソコンの減価償却に使う耐用年数

パソコンの法定耐用年数は4年です。この章では、耐用年数の調べ方と償却率の確認方法、中古品の簡便法を説明します。

新品のパソコンの法定耐用年数は4年

国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」では、パソコン(サーバー用のものを除く)の耐用年数は4年です。

耐用年数は省令で資産ごとに決められており、事業者が自由に決めることはできません。サーバー用など、パソコン以外の電子計算機は別の区分で、年数が異なります。

この表は主な資産を載せたもので、載っていない資産の耐用年数は、財務省令の別表で確認します。

購入する機器が表のどの区分に当たるか迷うときは、税務署や税理士に確認してください。

耐用年数から償却率を調べる方法

国税庁のタックスアンサーNo.2106によると、定額法・定率法の償却率や保証率は、耐用年数省令の別表で定められています。

定額法の各年の償却費は、取得価額に定額法の償却率を掛けて求めます。償却率は耐用年数ごとに決まっています。

耐用年数が4年の場合、償却率は4分の1にあたる0.250です(出典:耐用年数省令 別表第八)。

耐用年数ごとの率は、国税庁が公表している「減価償却資産の償却率等表」で確認できます。

中古パソコンの耐用年数は簡便法で求める

弥生の解説によると、中古で買った資産に新品と同じ耐用年数はそのまま使えず、耐用年数を短くする処理が必要です。

国税庁のタックスアンサーNo.2108によると、一定の中古資産は、法定耐用年数によらず、取得の時以後の使用可能期間の年数を耐用年数にできます。

同ページの主題は転用した場合の償却ですが、中古資産の耐用年数の求め方も説明されています。

使用可能期間の見積もりが難しいときは、簡便法で年数を計算できます。経過年数は、新品として作られてから取得した時までの期間です。

法定耐用年数の一部を経過している場合は、「法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%」で求めます。

全部を経過している場合は、「法定耐用年数×20%」で求めます。1年未満の端数は切り捨て、2年未満になる場合は2年とします。

法定耐用年数が4年のパソコンを中古で買った場合の計算例を、経過年数別に示します。

経過年数 計算 耐用年数
1年 4-1+1×0.2=3.2 3年
2年 4-2+2×0.2=2.4 2年
3年 4-3+3×0.2=1.6 2年(2年未満のため)
4年以上 4×0.2=0.8 2年(2年未満のため)

ただし、使うために取得価額の50%を超える資本的支出をした場合は、簡便法を使えません。

パソコンの減価償却費の計算方法

個人事業主の償却方法は、届出をしなければ定額法です。この章では、定額法と定率法の計算例、選び方、月割計算を説明します。

個人事業主の法定償却方法は定額法

国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、償却方法は資産の種類ごとに選定し、選定の届出がない場合は法定の償却方法で計算します。

法定の償却方法は、一般的には旧定額法または定額法です。つまり、届出をしていない個人事業主のパソコンは、定額法で計算します。

平成19年4月1日以後に取得した資産は、定額法や定率法などの方法で償却します。取得には、購入のほか、相続や贈与で得た場合も含まれます。

新たに業務を始めた場合は、翌年の3月15日までに届け出ます。償却方法を変更するときも、変更しようとする年の3月15日までに承認が必要です。

定率法を使いたい場合は、国税庁の償却方法の届出手続の案内に沿って届出書を出します。

提出期限が土・日曜日や祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限になるため、余裕をもって出しましょう。

定額法で計算する具体例

国税庁のタックスアンサーNo.2106によると、定額法の各年の償却費は「取得価額×定額法の償却率」です。

平成19年4月1日以後に取得した資産は、償却可能限度額と残存価額が廃止され、1円まで償却します。

48万円のパソコン(耐用年数4年)を1月から使い始めた場合で考えます。償却率は0.250なので、毎年12万円ずつが経費になります。

最終年は1円を残すため、4年目は11万9,999円となります。年ごとの推移は次の表のとおりです。

年 償却費 年末の未償却残高
1年目 120,000円 360,000円
2年目 120,000円 240,000円
3年目 120,000円 120,000円
4年目 119,999円 1円

償却費の合計は47万9,999円で、残る1円は帳簿に残存簿価として残り続けます。

定率法で計算する具体例

国税庁のタックスアンサーNo.2106によると、定率法の1年目は「取得価額×定率法の償却率」で計算します。

2年目以降は期首の未償却残高に償却率を掛けます。その額が償却保証額に満たなくなった年からは、改定取得価額に改定償却率を掛けます。

定率法の償却率等は、平成24年4月1日以後に取得する資産について改正されています。取得時期に合った率を使いましょう。

償却保証額とは、資産の取得価額に、耐用年数に応じた保証率を掛けて計算した金額のことです。

改定取得価額とは、調整前の償却額が初めて償却保証額に満たなくなる年の、期首の未償却残高です。

国税庁の例では、取得価額100万円・耐用年数10年の資産は、定率法で7年目に改定取得価額へ切り替わります。

定額法の例と同じ条件(48万円・耐用年数4年・1月から使用)で、定率法の償却費を計算します。

償却率は0.500、改定償却率は1.000、保証率は0.12499です(出典:耐用年数省令 別表第十)。

償却保証額は、48万円に保証率を掛けた約5万9,995円です。3年目の償却額6万円は、これを上回ります。

年 計算 償却費 年末の未償却残高
1年目 480,000円×0.500 240,000円 240,000円
2年目 240,000円×0.500 120,000円 120,000円
3年目 120,000円×0.500 60,000円 60,000円
4年目 改定取得価額60,000円×1.000から1円を残す 59,999円 1円

4年目は、調整前の償却額3万円が償却保証額に満たないため、改定取得価額で計算します。1年目の償却費は、定額法より12万円多くなります。

定額法と定率法はどちらを選ぶべきか

減価償却の方法には、毎年ほぼ同じ額を経費にする定額法と、初めの年ほど多く経費にする定率法があります。違いを表で比べます。

項目 定額法 定率法
届出 不要。個人事業主の法定の方法 償却方法の届出書が必要
毎年の償却費 原則として毎年同額 初めの年ほど多く、年とともに減る
計算の手間 取得価額×償却率で簡単 未償却残高や償却保証額の判定が必要
48万円・4年の1年目 12万円 24万円
向いている人 毎年同じ額で経費を安定させたい人 初年度に多く経費にしたい人

定額法は、毎年ほぼ同じ額を経費にでき、届出も不要です。収支を安定させたい人や、計算を簡単に済ませたい人に向いています。

定率法は、初めの年ほど多くの額を経費にでき、年とともに減ります。届出書が必要で、償却保証額の判定など計算の手間もかかります。

どちらを選んでも、償却できる総額は変わりません。先ほどの例では、どちらも合計47万9,999円です。

迷うときは、届出が不要な定額法を基本に考えると分かりやすいでしょう。定率法に変えたい場合は、届出の期限を必ず確認してください。

年の途中で使い始めたときの月割計算

国税庁のタックスアンサーNo.2106によると、年の中途で取得した場合は、年間の償却額を12で割り、業務に使った月数を掛けます。

たとえば10月から使い始めたなら3か月分です。48万円・4年の定額法なら、1年目は12万円×3か月÷12か月で3万円です。

2年目から4年目は12万円ずつで、5年目に残りの8万9,999円を計上します。合計は年初に使い始めた場合と同じ47万9,999円です。

この計算例を保存や共有しておくと、次にパソコンを買い替えるときの見直しに役立ちます。

個人事業主のパソコンの減価償却を仕訳する方法

償却の仕訳は、購入時と決算時に行います。この章では、直接法と間接法、一括償却資産や特例を使った場合の仕訳例を説明します。

直接法で減価償却費を仕訳する方法

弥生の解説によると、仕訳には直接法と間接法があり、個人事業主はどちらを選んでもかまいません。

直接法は、償却費をそのまま固定資産から減らして記録する方法です。48万円を預金で買い、1年目に12万円を償却する例です。

場面 借方 貸方
購入時 器具備品 480,000円 普通預金 480,000円
決算時 減価償却費 120,000円 器具備品 120,000円

決算時に、その年の償却費を器具備品から直接減らします。帳簿上の器具備品は、1年目の終わりに36万円になります。

間接法で仕訳する方法

間接法は、器具備品の金額を減らさず、減価償却累計額を貸方に計上する方法です。同じ48万円の例で見てみましょう。

場面 借方 貸方
購入時 器具備品 480,000円 普通預金 480,000円
決算時 減価償却費 120,000円 減価償却累計額 120,000円

この場合、器具備品は48万円のまま残り、累計額との差が帳簿上の価値になります。どちらの方法でも、経費になる金額は同じ12万円です。

一括償却資産の仕訳例

15万円の購入分を一括償却資産にする場合の仕訳の一例です。購入時と、毎年の決算時に分けて示します。

場面 借方 貸方
購入時 一括償却資産 150,000円 普通預金 150,000円
決算時(毎年) 減価償却費 50,000円 一括償却資産 50,000円

3年間、毎年5万円ずつを同じ仕訳で計上します。勘定科目は、会計ソフトの設定や税理士の方針で異なることがあります。

少額減価償却資産の特例を使った場合の仕訳例

35万円の購入分に特例を使う場合の仕訳の一例です。購入時と決算時に分けて示します。

場面 借方 貸方
購入時 器具備品 350,000円 普通預金 350,000円
決算時 減価償却費 350,000円 器具備品 350,000円

決算時に全額を償却するため、使い始めた年の経費は35万円になります。実際の勘定科目や記載方法は、税理士に確認してください。

パソコンの減価償却で間違えやすいケース

使い始める前の事情や処分、地方税の申告で戸惑う場面があります。この章では、開業前に買ったパソコン、買い替えでの処分、償却資産税を取り上げます。

開業前に買ったパソコンを事業で使い始めた場合

開業前に私用で買ったパソコンを、あとから事業で使い始めるケースがあります。国税庁が計算方法を示しています。

新品で取得した場合はタックスアンサーNo.2109、中古で取得した場合はタックスアンサーNo.2108が参考になります。

解説は家屋や自動車を例にしていますが、対象は使用や期間の経過により減価する資産です。パソコンにも同じ考え方が当てはまると考えられます。

まず、使い始める日の未償却残高を求めます。取得価額から、業務に使っていなかった期間の減価の額を差し引いた金額です。

この減価の額は、法定耐用年数の1.5倍の年数で、旧定額法に準じて計算します。耐用年数が4年なら、1.5倍は6年です。

使っていなかった期間の端数は、6か月以上なら1年とし、6か月に満たなければ切り捨てます。

使い始めたあとの償却方法は、取得年月日で決まり、転用した日では決まりません。平成28年4月1日以後の取得なら、定額法または定率法です。

求めた未償却残高をもとに、使い始めたあとの償却費を計算します。具体的な金額は条件で変わるため、税理士や税務署に確認しましょう。

買い替えで古いパソコンを処分した場合

弥生の解説によると、耐用年数が残る資産を廃棄したときは、未償却残高を固定資産除却損として経費にします。

たとえば取得価額48万円で、廃棄までの償却費の累計が36万円なら、除却損は12万円です。

一括償却資産は除却損の処理を行わず、少額減価償却資産の特例を使ったものは未償却残高がないため、除却損が不要です。

売却した場合の利益は、原則として譲渡所得となり、事業所得にはなりません。ただし、少額減価償却資産の売却などは例外です。

償却資産税の申告が必要になるパソコンの条件

パソコンなどの事業用資産には、国税とは別に、固定資産税(償却資産)がかかることがあります。

浜松市の案内によると、取得価額が10万円未満で一時に必要経費にしたものと、一括償却の対象としたものは、課税対象としません。

一方、少額減価償却資産の特例で即時償却した資産は、課税対象になり、申告が必要です。

全額を経費にしても、償却資産税の対象から外れるわけではない点に、注意しましょう。実際に課税されるかは、資産の合計額や免税点で決まります。

免税点は見直されることがあるため、事業所のある市区町村で最新の情報を確認してください。

パソコンの減価償却に関するよくある質問

パソコンの減価償却で多い疑問に答えます。10万円未満の扱い、白色申告での特例、兼用の場合、耐用年数のあとの扱い、未使用の場合を取り上げます。

10万円未満のパソコンも減価償却は必要ですか?

必要ありません。国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、取得価額が10万円未満のものは、全額を業務に使い始めた年分の必要経費にします。ただし、10万円未満かどうかは、税込経理か税抜経理かによって判定する金額が変わります。

白色申告でも少額減価償却資産の特例は使えますか?

使えません。弥生の解説によると、この特例は青色申告者のみが対象です。白色申告でも、取得価額が10万円以上20万円未満なら、一括償却資産の特例を使えます。

事業とプライベートで兼用するパソコンも全額を償却できますか?

全額は償却できません。弥生の解説によると、事業で使った割合に応じた家事按分が必要です。たとえば事業での使用割合が75%なら、経費にできるのは償却費の75%です。事業の使用割合が10%程度でも、按分は必要とされています。

耐用年数が過ぎても使い続けているパソコンの減価償却はどうなりますか?

耐用年数のあいだに償却を終えているため、その後に償却費は計上しません。国税庁のタックスアンサーNo.2106によると、平成19年4月1日以後に取得した資産は、取得価額から1円を控除した金額まで償却し、帳簿には1円が残ります。

購入したものの使い始めていないパソコンは経費にできますか?

使い始めるまでは経費にできません。国税庁のタックスアンサーNo.2100によると、10万円未満の資産でも、全額を必要経費にするのは業務に使い始めた年分です。年末に買って年内に使わなかった場合は、使い始めた年から処理します。

パソコンの減価償却で押さえておきたいポイント

個人事業主のパソコン購入費は、取得価額と申告の区分によって、経費にする方法が決まります。迷ったときは、価格帯、青色申告の有無、購入時期を確認しましょう。

購入から確定申告までに確認したい手順

国税庁のタックスアンサーNo.2100が示す区分に沿って、次の順で確認すると整理しやすくなります。

  1. 購入前に、取得価額が10万円未満、20万円未満、40万円未満のどこに当たるかを確認する。
  2. 青色申告者なら、40万円未満のパソコンで少額減価償却資産の特例を使うか検討する。
  3. 40万円以上なら、耐用年数4年で定額法を基本に、月割で計算する。
  4. 決算時に仕訳をして、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の欄に記載する。
  5. 特例や一括償却資産を使ったときは、償却資産税の申告が必要か、市区町村に確認する。

制度の主な数値は、令和8年4月1日現在法令等の国税庁の解説と、中小企業庁の資料を参照しています。償却率の細かな数値は、国税庁の償却率等表で確認してください。

個別の事情で取扱いが変わることがあるため、最終的な判断は税理士や税務署に確認してください。

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ほかに知りたいテーマや疑問点があれば、感想として教えてください。よくある質問もあわせてご確認ください。

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